大阪の不動産投資の将来はどう?
不動産開発といえば首都圏を真っ先に思い起こすかもしれませんが、実は、大阪に注目が集まっていることをご存じでしょうか。
大阪は日本で第2位の都市であり、関西地方の経済の中心地です。大阪に注目が集まっている理由は数々の大規模プロジェクトが予想されているからです。
今回は大阪の不動産投資の将来性について解説します。
大阪の不動産投資の現状
本題に入る前に大阪の不動産投資の現状について整理します。もともと、大阪は関西圏の中心で経済的にも重要な都市でした。首都圏に比べて地価や物件が割安であることや大阪市に人口が集まっていること、ビジネス需要が高いことなどがその理由です。
東京に比べて地価や物件価格が安定している
大阪が注目されている理由の一つに地価や物件価格が安定していることがあります。2022年1月の公示地価を見てみましょう。
東京都は1平方メートル当たり115万9668円であるのに対し、大阪府は31万8991円です。上昇率を見ても東京都が前年比2.81%の上昇であるのに対し、大阪府は1.26%の上昇にとどまっています。
建物についても東京の高さが目立ちます。中古マンションを例にとって比較すると、首都圏が平均価格8,873万円で平米単価が132.1万円であるのに対し、近畿圏は平均価格4,774万円で平米単価が78.7万円です。
出典:不動産経済研究所
公示地価・中古マンション価格ともに東京や首都圏がかなり割高であり、大阪・関西圏に上昇余地があることが見て取れます。
大阪市の人口は増加傾向
1965年以降、大阪市の人口は減少傾向で推移してきました。しかし、2005年に人口が増加に転じ、2023年8月1日段階では人口が2,768,139人まで増加しました。増加しているのは主に若い世代が流入しているからです。
大阪市内で高層マンションが建てられるようになり、居住空間が増えたことが人口増加の要因として挙げられます。高層マンションには年配層が居住する一方、これまで年配層が住んでいたマンション・アパートに比較的若い世代が居住できるようになりました。
大都市である大阪は働く場所が多く、勤務地に近い場所に住みたい若い世代が大阪に流入していると考えられます。こうした大阪独特の理由もあり、人口が増加しているのです。
大阪都心のビジネス需要が高い
日本第二位の都市である大阪には、大手企業の支社が多数存在します。もちろん、大阪に本社を置く大手企業もあります。こうした企業によるオフィス需要があるのも大阪の魅力の一つです。
オフィスがあれば働く人たちの住居も必要です。オフィスが活況であれば旺盛な賃貸需要も見込めます。大阪は東京に比べるとビジネス街が集約されているため、都心に近い梅田・難波・天王寺などは高い収益を見込めます。
つまり、投資対象を絞り込みやすいというメリットが得られるのです。
大阪の不動産投資の見通しは明るい
ここまで、大阪の現状や大阪が持つ不動産投資上の有利さについて説明してきました。ここからは、大阪の不動産投資の見通しについて解説します。
大阪都心で大規模な再生プロジェクトが進んでいるから
大阪には24の区があります。なかでも北区・中央区・西区・天王寺区・浪速区・福島区は都心6区と呼ばれ大阪経済の中心を担っています。
その大阪都心で大規模な再開発が実施されており、その目玉プロジェクトの一つがJR大阪駅や大阪梅田駅などがある北区梅田の再開発です。
北区には梅田・北新地・中之島・堂島・天満といった繁華街が存在し、文字通り大阪の心臓部といえる場所です。その梅田でJR梅田駅北側のエリア(うめきた)で大規模な再開発が行われています。
JR大阪駅の北側にある約24ヘクタールの区画が再開発の対象です。2013年にグランフロント大阪が開業しましたが、うめきた開発の2期目のプロジェクトとしてグラングリーン大阪の開発が進められているのです。
大阪で不足している大型オフィスに加え、高級ホテルやコンベンションセンターなどの複合施設であるMICE施設、スパを含む観光施設などで構成されています。これにより大阪都心の魅力が増すと期待されています。
2025年に大阪万博が開催されるから
来る2025年、大阪市では日本国際博覧会(大阪万博)の開催が予定されています。開催予定は2025年4月13日で、大阪湾にある人工島の夢洲を会場として半年間開催するとしています。
想定される来場者数は2,820万人で経済波及効果は2兆円と見込まれており、この大規模プロジェクトにより大阪への投資が加速しています。2023年4月からパビリオンの工事などが本格化しているため、大阪経済の活性化が期待されています。
交通機関の整備が進められているから
大阪では交通機関の整備が進められています。大規模プロジェクトは以下の3つです。
・リニア中央新幹線の開業
・北陸新幹線の大阪延伸
・なにわ筋線の延伸
リニア中央新幹線とは、東京・名古屋・大阪という日本の3大都市を時速500キロメートルという超高速で結ぶ鉄道路線のことです。
この路線が実現すると東京と大阪を1時間で移動できるようになります。そうなると、今まで以上に東京と大阪の時間的距離が縮むため、投資の魅力が増すと考えられます。
北陸新幹線は長野県や新潟県を経由して北陸地方と首都圏を結ぶ高速鉄道路線です。長野市からスタートして、現在は石川県の金沢市まで伸びています。
現在、金沢から敦賀間の建設が進められ、将来的には大阪まで延伸することが決まっています。これが開通すれば、北陸地方との交通が密になり、大阪経済によい影響を与えると期待されています。
カジノの計画が進んでいるから
2023年4月、斎藤国土交通大臣は大阪府・大阪市が申請していたカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の計画を認定しました。IRが計画されているのは大阪万博の会場となる夢洲です。島の北側の市有地にカジノ施設やMICE施設、高級ホテルなどを建設する計画です。
順調にプロジェクトが進めば大阪に新たな観光地が出現することになり、外国人を含む多数の観光客が誘致できると期待されています。
将来性が高い大阪のエリア
大規模開発が進む大阪ですが、どの場所でも不動産投資の利益が得られるというわけではありません。そこで今回は投資対象として魅力がある北区・浪速区・中央区について紹介します。
北区
先ほど述べたとおり北区では、うめきたの再開発が進められています。もともと、梅田周辺には商業施設が集中しており、不動産投資の魅力度が高いエリアでした。
JR大阪駅周辺は交通の要衝であり、超高層ビルが立ち並ぶビジネス街と飲食店が軒を連ねる繁華街、西日本最大級のショッピングエリアなど魅力ある物件が多数あります。再開発の進展にともない、今まで以上に魅力あふれるエリアとなることが期待されています。
浪速区
浪速区は大阪の代名詞ともいえる道頓堀周辺のエリアです。大阪市で最も狭い区ですが、商業地が集積しているため存在感のある場所です。
大阪のシンボルともいえる通天閣や新世界などがあり、でんでんタウンなどの商業施設、音楽ホールのなんばHatchなどもあり、多くの人でにぎわっています。
中央区
中央区は1989年に旧東区と旧南区が合区して誕生しました。古代には難波宮が置かれ、織豊政権時代には大阪城が築かれました。
証券会社や薬種商、卸売商などが軒を連ね、商店街や百貨店、飲食店には多数の客が訪れ賑わっています。
まとめ
今回は大阪の不動産投資の将来性についてまとめました。東京と比べると地価や物件価格が安いというメリットがありながら、ビジネスチャンスに恵まれた街だとわかりました。
これから数年は万博や都心地区の再開発、カジノ構想の実現などによりビジネス環境が良くなると期待されています。これは、不動産投資の視点から見てもまたとない好機です。
不動産投資を検討しているのであれば、首都圏だけではなく大阪も投資対象として検討してみてはいかがでしょうか。